Story

月下。

時間を忘却しよう。

爪弾く。

引掻く。


それは例えば、奏でる響きは幻想的で、まるで夢の中のように音たちが移ろいでいる。
「興味深い音ね。幾つも重なっていろんな表情をみせるわ」

「この“モノ”は、世界にひとつしか無いのだそうです。そこから出でる音はきっと唯一無二でしょう」

ある偉人の名を冠した楽器。

ねえ咲夜。だって、音楽って一人でも何人でも聴くことができるでしょう。
然しその音楽は、聴く誰かがいなければ、それは音楽と云えるのかしら。
誰もいない音なんて、寂しいだけだわ。

咲夜は、目を細め、再び音を探り始める。
レミリアは、目を瞑り、再び音にいざなわれる。

ピカソという名にふさわしい楽器だと特別思わない?

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